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『地域の元気をつなぐ学校をつくりたい〜東日本大震災を経験したからこそ今がある〜』 フリースクール居学処 「水野谷塾」 代表 水野谷 理恵 さん

『地域の元気をつなぐ学校をつくりたい〜東日本大震災を経験したからこそ今がある〜』 フリースクール居学処 「水野谷塾」 代表 水野谷 理恵 さん  東日本大震災を経験し、いわき市から村上市へ家族で移住後に、フリースクール居学処「水野谷塾」を運営している水野谷理恵さんにお話を伺った。

 大学時代に出会ったご主人と結婚し、福島県いわき市で小学校の教員として働いていた水野谷さんは、教員になった当初は「子どもが好きで教えるのが好き」というところからスタートしたのに、経験を重ねていくと、周りからの期待と自分の想いに葛藤が生じ、子どもたちと向き合う心の余裕が足りないと、違和感を持つようになったという。

 さらに、震災が発生したことで、これまでの教員生活で培ってきたものがすべて崩れたように感じたという。
 「結果重視の現在の学校教育に疑問を持っていました。また、震災以降、放射能から子どもたちを守ろうとしない学校現場に愕然とし、子どもたちの健康と安全を守れないなら自分で教育の場を作りたいと思い、教員を辞め、子どもと避難しました。」

 水野谷さんは震災後に体調を崩し、1年間の休職を経て、福島県外に避難したという。一度は復職したものの、体調が回復しなかったこともあり、意を決して教員を辞め、阿賀野市に母子避難生活を始めた。その後、ご主人も新潟にやって来て、村上市で生活を始めた。

 阿賀野市に避難をしていたときには「震災の語りべ」としてお話会を開催した。そのつながりがフリースクールを開始するきっかけとなった。避難により娘さんが不登校になったこと、身近にも不登校のお子さんがいたことも重なり、フリースクール「水野谷塾」を開講した。

 塾ではお昼のプログラムとして、教科学習、自然・農業・職場見学などの体験学習、相談支援を行っている。また、週2回夜の宿題会や月1回イベント等の交流会を行っている。

 「子どもたちは元気になると学校に行きたくなる。ここでは学ぶって楽しい、人と集うって楽しいということをたっぷり味わってもらっています。それが意欲へ繋がり、自主性を育てる。初めは自分の息子の友人から声をかけていき、そこから広がっていきました。」 広報活動はそれほどしていない。必要と感じる人が情報を受け取り、来所されるという。

 現在は昼の利用者がいないため、その時間を使って、震災関連等の講師をしたり、人脈を広げたりと活動している。福島から地域への保養プロジェクトのコーディネーターもしており、塾で保養プロジェクトを実施する予定もある。

 「水野谷塾」では、居心地の良い雰囲気づくり、子どもたちの自主性の尊重に心を配る。教え込むのとは違う指導理念のため、その苦労を保護者に理解してもらえた時に達成感を感じるという。 

 「まず、子どもの話を聞くことが大切。子どもは心と体が健康になると自然と外へ出ていきたくなるものです。何が困っていて、何が大変なのかということを自分で理解できていない事が大半。ヒントになる言葉を添え、状況を把握する場を積み重ねます。その積み重ねから、なぜ学校にいけないのか、自分はどうすればいいのかが分かってくるものです。自分の存在を受け入れられていることがわかると安心し、学校現場に対応できるようになります。」

 しかし、水野谷さんは親御さんの理解を得ることが一番難しいと語る。子どもの変化を正しく受け止めてもらい、親御さんに理解して頂きながらの指導は、相乗効果をもたらし、想像以上の成果が出るとのこと。一般の行政機関等と連携し、より必要とされる場で活用してもらいたいと話す。

 「常に地域を、人を、元気にしたいと活動を続けています。お互いの違いを認め合う、そして、その中で学びあう場所をつくれば、人は違っていても楽しく生き生きと暮らすことができると思っています。それが私の教育理念であり、その理念を地域に広げる手段として学校をつくりたいです。そして、地域の人の幸せをいっぱい繋いでいきたい。今はテレビの影響等で価値観が一極化していて、流されていると感じることが多いけど、みんな違ってそれでいいと、助け合いの精神を大切にしていきたいと思います。」

 今後は「学」だけでなく、「食」を含めて、活動を広げていきたいと語る水野谷さん。都会の人たちに自然の豊かさを体験してもらう「田舎体験プロジェクト」も構想中だそうだ。東日本大震災を経験したからこそ、自分の教育理念を掲げ、人が協力しあって生きることの大切さを教えていく水野谷さんの活動を応援したい。

・水野谷塾Facebookページ  https://www.facebook.com/mizunoyajyuku/

(2017/06/26 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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